野巫
ヤブ医者の語源という説もある野巫は、呪術で病人の治療をしようとする医術の理解に乏しい田舎者の医者のことだ。天台の摩訶止観でも一部だけを知って本義に疎い学に欠ける禅修行者の例えとして用いられる。
現代でも、エビデンスに基づかず、医者個人が勝手に効くはずだと思い込んだだけの無効だったり有害だったりする薬の処方が行われることがある。その非科学的な不思議な力を信じる患者も付き従っている。まさに野巫だ。天台の野巫と同様に、彼らは一応は医師免許をもっており断片的な知識はあるので、知識がない人が聞くとそれっぽく聞こえるのはやっかいだ。
もし、無治療なら患者の1割ほどが死ぬ病気があったとして、その患者たちが野巫の治療を受けても9割ほどは助かる。そうすると、実際にはなんの役にも立っていない野巫は助かった人達からすごい医者のように言われるのだ。ちゃんと治療すればほぼ全員たすかったのに沢山の人が死んだという事実を信者たちは無視し、それを指摘する健常者を陰謀の主のように言って攻撃さえする。
医療業界では標準的治療が殆どの場合で最適な治療法だ。その治療法が現在選択できるものの中では一番効率が良かったから広まったのであり当然だ。どこかの野巫だけが知っている世界一優れた治療法なんて信じてはいけない。
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