台湾で日常(ほとんど)戻る

 昨日、台湾で新型コロナウイルス感染症による規制が大幅に緩和されました。台湾内での発症者はここ8週間ゼロだそうです。台湾では6月7日より、屋内1.5m、屋外1mの社会的距離を保てばイベントの開催に人数制限が無くなりました。社会的距離の確保が確実なところではマスク着用もしなくてよくなりました。一部の体温測定や海外からの人の流入には制限がつきますが、ほぼ正常化したと言っても過言では無いでしょう。世界的な感染の流行は続いており今後どうなるかはまだ分かりませんが、台湾は今のところ間違いなく世界で最も新型コロナウイルス対策に成功しています。

 そんな台湾に学べる点も多いはずです。台湾は戦時下体制だから日本は同じことが出来ないとの意見もよく聞かれますが、危機的状況になっても平時の制度でしか動けない日本の方が異常なのです。少なくとも台湾の施策を学び可能な範囲で今後の対策に役立てるべきでしょう。では、台湾の何が良かったのか?日本との比較も含めて個人的に三つあげてみました。

 第一位、水際対策
 台湾は去年の12月31日には既に武漢からの入国者の検疫を開始しています。感染者が出る1月21日より前に速やかに対策のための組織をつくりあげていました。その後、1月22日には武漢からの団体旅行の入国を禁止、1月24日は中国からの団体旅行客の入国を禁止、2月6日は中国からの渡航が全面禁止となりました。一方の日本は3月5日に中国からの入国者に対して2週間の宿泊所への待機と公共交通機関の不使用をお願いしただけです。入国禁止となったのは4月1日になってからでした。台湾と比較して2ヶ月遅れです。この差は一体どこから生まれたのでしょうか?一つは情報収集能力の差でしょう。去年から既に対策を始めていたのは群を抜いて圧倒的な早さです。もう一つは行政トップの決断の早さです。正しい情報が伝わっても行政が利用しないと同じだからです。

 第二位、民心の安定
 台湾では検疫で隔離を要する人には1日あたり約3500円の補償が与えられます。この期間、台北ではペットを飼っている人は、上限およそ1万円の格安価格でペットを預かってくれます。マスクについても総量を国家管理として国民が平等に購入できる様に手配し、3月中には不足も解消しています。休校も2週間のみでしたし、経済活動の制限も限定的でした。初動での水際対策の成功で大幅な経済活動の制限も行う必要がなかったのです。民の心は安定し、対策へ積極的な協力が得られました。一方の日本では、経済的大打撃を受けました。残念ながら経済問題から命を落とす人も多かった事でしょう。また、地域差はありますが休校も長かったです。そして、その対策はお世辞にも早いとは言えず、人々の心の荒廃を招きました。

 第三位、接触者追跡
 台湾では自主隔離者に携帯電話を渡して位置情報を取得、電源が15分以上切られると当局に警告が送られます。また、1日2回まで電話がかかってきますので放置してもバレます。実は途中で渡す携帯電話が足りなくなったそうですが、かつてSARSで被害にあった台湾は患者追跡に対して公民とも協力的でした。一方の日本は、保健所を中心にクラスター対策に取り組みこれは一定の効果を上げることが出来たものの、感染経路不明な人の中には本当に不明ではなく正直に申告しない人も多かったとも聞きます。日本人に公益よりも私利私欲を優先させる人が多いのが原因かも知れません。

 日本の対策も結果としてはさほど悪くない結果を得ていますが、台湾に見習う点は多いです。次に備えて準備を怠り無くしたいものです。合掌。

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